コラム
ピロリ菌と胃の健康について
ピロリ菌とは?胃に与える影響
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の中に生息する細菌で、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因の一つとされています。多くは幼少期に感染し、長い年月をかけて胃の粘膜に炎症を起こし続けます。
一般に5歳未満で感染するとされており、成人後の新規感染や除菌後の再感染はまれで、再感染に関しては約500人に1人程度といわれています。
感染経路と予防の考え方
ピロリ菌は口から感染する「経口感染」が主で、特に幼少期の食事の口移しなどが関与すると考えられています。そのため、お母様がピロリ菌陽性である場合は感染の可能性に注意が必要です。
父親からの感染もあり得ますが頻度は高くありません。かつては井戸水からの感染も指摘されていましたが、日本では衛生環境の改善により、現在では自然環境からの感染はほとんど見られなくなっています。
胃がんとの関係と菌の特徴
感染していても無症状のことが多いですが、放置すると胃がんのリスクが高まります。その背景には、ピロリ菌が産生するCagA蛋白などによる慢性的な炎症が関与しています。
また菌株の違いも重要で、日本・韓国・中国などの東アジア株は、欧米株に比べて病原性が高いとされ、日本で胃がんが多い一因と考えられています。
J. Kuipers, G. I. Perez-Perez, S. G. M. Meuwissen &J. Blaser: J. Natl. Cancer Inst., 87, 1777 (1995).
J. Blaser, G. I. Perez-Perez, H. Kleanthous, T. L.Cover, M. Peek, P. H. Chyou, G. N. Stemmermann &A. Nomura: Cancer Res., 55, 2111 (1995).
研究から見えるピロリ菌の多様性
余談ですが私が国内留学中に関わった沖縄での研究では、沖縄では他地域と比べて胃炎が軽く、胃がんの頻度も低い背景として、東アジア型とは異なる菌株の関与が示唆されていました。
ピロリ菌の違いから人類の移動の歴史が見えてくる点も、非常に興味深いところです。
Shotaro Oki, Tsutomu Takeda, Atsushi Ikeda, Akihito Nagahara et al. J. Clin. Med. 2022, 11(19), 5739 “Comparative Study of Helicobacter pylori-Infected Gastritis in Okinawa and Tokyo Based on the Kyoto Classification of Gastritis”
検査と除菌治療について
ピロリ菌感染が疑われる場合には、胃カメラによる粘膜の評価(萎縮性胃炎の有無)と、呼気検査や血液検査などで感染の有無を確認します。
除菌は内服治療(抗生剤と胃薬の1週間内服治療)で行い、高い成功率が期待でき、胃炎の改善や将来的な胃がん予防につながります。
ピロリ菌未感染胃粘膜(きれいな胃粘膜)
ピロリ菌現感染胃粘膜(ピロリ菌で炎症がおきている胃粘膜)
除菌後も安心ではありません
除菌により胃がんの発症リスクは約30%低下するとされていますが、完全にゼロになるわけではなく、約70%のリスクは残ると考えられています。
そのため、除菌後も定期的な胃カメラ検査が非常に重要です。
除菌後胃がんと内視鏡検査の重要性
除菌後に発生する胃がん(除菌後胃がん)は、通常の胃がんと比較して内視鏡での発見が難しいことが知られています。
当院では最新の内視鏡機器を用い、特殊光観察や画像強調内視鏡により病変の視認性を高め、早期発見に努めています。
池田医院での取り組み
横浜市青葉区の池田医院ではピロリ菌の検査・除菌治療を行っております。また、横浜市青葉区の胃がん検診(胃カメラ)にも対応しており、内視鏡専門医が丁寧に検査を行います。
胃の不調がある方、検査未経験の方、ピロリ菌が気になる方はお気軽にご相談ください。

