コラム

お腹に優しい食事ご存じですか?【FODMAP食に関して】

■FODMAP食ご存じでしょうか?

聞きなじみは無い言葉だと思います。簡単に説明するとお腹に良い食事です。普段からお腹の調子が悪く、便秘や下痢、腹痛を繰り返すような症状があればFODMAP食を検討してみても良いかもしれません。

また、最近「腸活」っていう言葉がはやっておりますが腸活とは違いますのでご注意ください!腸活でおすすめな食事で逆にお腹の調子が悪くなることが多々あります。

当院でも患者様にFODMAP食に関してご説明させていただく機会が多く、今回コラムでまとめさせていただきました是非一読ください。

■FODMAPとは?腸にやさしい食事法を理解する

近年、腸内環境や消化器の健康への関心が高まる中で、「FODMAP(フォドマップ)」という言葉を耳にする機会が増えました。特に過敏性腸症候群(IBS)などの消化器症状に悩む人の食事療法として、低FODMAP食(Low FODMAP diet)が注目されています。
本コラムでは、FODMAPの基本的な意味、含まれる食品、低FODMAP食の考え方、実践のポイントについて詳しく解説します。

■FODMAPとは何か

FODMAPとは、以下の英語の頭文字を取った言葉です。
  • Fermentable(発酵性)
  • Oligosaccharides(オリゴ糖)
  • Disaccharides(二糖類)
  • Monosaccharides(単糖類)
  • And
  • Polyols(ポリオール)
これらは小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質の総称です。
FODMAPは健康な人にとって問題ないことが多いですが、消化器が敏感な人では以下のような症状を引き起こすことがあります。
  • 腹部膨満感
  • ガスの増加
  • 腹痛
  • 下痢
  • 便秘
特に**過敏性腸症候群(IBS)**の患者では、FODMAPの摂取によって症状が悪化することがあるため、低FODMAP食が治療の一つとして提案されています。

■なぜFODMAPが症状を引き起こすのか

FODMAPが消化器症状を引き起こす主な理由は次の2つです。

①水分を腸に引き込む

FODMAPは吸収されにくいため、腸内で浸透圧を高めて水分を引き込む性質があります。
その結果、
  • 下痢
  • 腹部の不快感
などが起こることがあります。

②腸内細菌による発酵

大腸に到達したFODMAPは、腸内細菌によって発酵されます。
このとき、
  • 水素
  • メタン
  • 二酸化炭素
などのガスが発生し、腹部膨満感やガス溜まりの原因になります。

■FODMAPの主な種類

FODMAPは主に次の5つのカテゴリーに分けられます。
  1. フルクタン(Fructans)
  2. ガラクトオリゴ糖(GOS)
  3. 乳糖(Lactose)
  4. 果糖(Fructose)
  5. ポリオール(Polyols)
それぞれに含まれる食品は異なります。

■FODMAP食品の例

以下の表に、高FODMAP食品と低FODMAP食品の代表例をまとめました。
FODMAP分類
高FODMAP食品
低FODMAP食品
フルクタン
小麦、玉ねぎ、にんにく
米、そば、オートミール
ガラクトオリゴ糖
豆類、レンズ豆、ひよこ豆
木綿豆腐、テンペ
乳糖
牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム
ラクトースフリー乳、アーモンドミルク
果糖
りんご、梨、マンゴー、蜂蜜
バナナ、いちご、オレンジ
ポリオール
キシリトール、プラム、カリフラワー
にんじん、なす、トマト
この表からもわかるように、健康的とされる食品でも高FODMAPの場合がある点が重要です。
→「腸活」ではよくニンニクや発酵食品、ヨーグルト等々いわれていますが逆効果になる可能性があります!!!

■低FODMAP食とは

低FODMAP食は、FODMAPを多く含む食品を一時的に制限する食事法です。
主に以下の3つの段階で行われます。

①制限期(2〜6週間)

高FODMAP食品をできるだけ避けます。
目的は
  • 腸の症状を落ち着かせる
  • 食事の影響をリセットする
ことです。

②再導入期

FODMAPを含む食品を1種類ずつ再導入します。
例えば
  • 乳糖
  • 果糖
  • フルクタン
などを個別に試して、症状が出るか確認します。

③維持期

自分が耐えられる食品と量を把握し、長期的な食事パターンを作ります。
→すべてのFODMAPを避け続ける必要はありません

■低FODMAP食のメリット

低FODMAP食には次のようなメリットがあります。

1 消化器症状の改善

研究では、過敏性腸症候群(IBS)患者様の約70%で症状改善が報告されています。

2 自分の食事トリガーがわかる

再導入期を通じて、
  • 乳糖に弱い
  • 小麦が原因
  • 果糖に反応する
など個人差が明確になります。

3 腸の負担を減らせる

消化しにくい糖質を減らすことで、腸のガスや膨満感が軽減されます。

■注意点

低FODMAP食にはいくつか注意点もあります。

<栄養不足の可能性>

長期間制限しすぎると
  • 食物繊維
  • カルシウム
  • プレバイオティクス
などが不足する可能性があります。

 

<腸内細菌への影響>

FODMAPの一部は善玉菌のエサでもあります。
過度に制限すると腸内細菌の多様性が低下する可能性があります。

 

<自己判断は難しい>

低FODMAP食は食品の判断が難しいため、
  • 管理栄養士
  • 医師
など専門家の指導のもとで行うのが理想的です。

■実践のポイント

低FODMAP食を取り入れる際には、次のポイントが役立ちます。

1 食事記録をつける

  • 食べたもの
  • 症状
  • 時間
を記録すると、トリガー食品が見つかりやすくなります。

2 完璧を目指さない ←すごい大事です!!

FODMAPは量によって症状が変わることがあります。
少量なら問題ない食品も多いため、極端な制限は必要ありません。

3 加工食品に注意

多くの加工食品には
  • 高果糖コーンシロップ
  • ソルビトール
  • イヌリン
などの高FODMAP成分が含まれています。

■まとめ

FODMAPとは、腸で吸収されにくく発酵しやすい糖質の総称であり、消化器症状の原因となる場合があります。低FODMAP食は、これらの食品を一時的に制限し、症状の改善と個人の食事トリガーを特定するための食事療法です。
ただし、FODMAPを完全に排除する必要はなく、最終的には自分に合った食事バランスを見つけることが重要です。腸内環境は個人差が大きいため、食事記録や再導入を通して、自分の体に合った食事スタイルを構築していくことが、健康な消化器機能を維持するための鍵となります。

以下は、低FODMAP食でよく使われる食品リストです。
実際の食事計画に使いやすいように、「低FODMAP(比較的安心)」と「高FODMAP(制限が必要)」に分けて整理しています。
※量によって許容量は変わるため、完全な禁止ではありません。

低FODMAP食品・高FODMAP食品リスト

①主食(穀類)

低FODMAP(比較的安心)
高FODMAP(制限)
白米
小麦
玄米
パン(小麦)
米粉パン
うどん
オートミール(少量)
パスタ
そば(十割)
中華麺
コーンフレーク
菓子パン
キヌア
クロワッサン
タピオカ
全粒粉パン

②野菜

低FODMAP
高FODMAP
にんじん
玉ねぎ
トマト
にんにく
きゅうり
カリフラワー
なす
マッシュルーム
ほうれん草
アスパラガス
レタス
ビート
じゃがいも
芽キャベツ
かぼちゃ
アーティチョーク
ピーマン
えんどう豆
大根
長ねぎ(白い部分)
ズッキーニ
キャベツ(大量)

③果物

低FODMAP
高FODMAP
バナナ
りんご
いちご
みかん
マンゴー
オレンジ
さくらんぼ
キウイ
スイカ
パイナップル
ブルーベリー
プラム
メロン(少量)
ドライフルーツ
レモン
アプリコット

④乳製品

低FODMAP
高FODMAP
ラクトースフリー牛乳
牛乳
アーモンドミルク
ヨーグルト
ココナッツミルク
ソフトチーズ
カマンベールチーズ
リコッタ
チェダーチーズ
クリームチーズ
パルメザンチーズ
アイスクリーム
バター
カスタード

⑤タンパク質食品

低FODMAP
高FODMAP
鶏肉
味付け豆類
牛肉
ひよこ豆
豚肉
レンズ豆
大豆(大量)
ベイクドビーンズ
木綿豆腐
枝豆(大量)
テンペ
加工豆製品
※肉・魚・卵は基本的にFODMAPが少ない食品です。

⑥ナッツ・種子

低FODMAP
高FODMAP
ピーナッツ
カシューナッツ
くるみ
ピスタチオ
マカダミアナッツ
大量のアーモンド
チアシード
ヘーゼルナッツ(多量)
かぼちゃの種

⑦甘味料

低FODMAP
高FODMAP
砂糖
はちみつ
メープルシロップ
高果糖コーンシロップ
ステビア
ソルビトール
米飴
キシリトール
ブドウ糖
マンニトール

⑧飲み物

低FODMAP
高FODMAP
フルーツジュース(濃縮)
緑茶
アップルジュース
紅茶
梨ジュース
コーヒー
はちみつ入り飲料
無糖アーモンドミルク
甘味料入り飲料

低FODMAP食で特に使いやすい食品(まとめ)

実際の食事で使いやすい食品をまとめると以下です。
主食
  • 白米
  • 玄米
  • そば
  • オートミール
タンパク質
  • 鶏肉
  • 木綿豆腐
野菜
  • にんじん
  • トマト
  • きゅうり
  • レタス
  • じゃがいも
果物
  • バナナ
  • いちご
  • キウイ
  • オレンジ
乳製品
  • ラクトースフリー牛乳
  • 硬いチーズ

【監修】 池田 厚(いけだ あつし)  池田医院 副院長

■ 学歴

  • 平成21年 浅野学園高等学校卒業
  • 平成27年 順天堂大学卒業

■ 職歴

  • 平成27年4月 順天堂大学医学部附属練馬病院 初期研修開始
  • 平成29年4月 順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器内科学教室入局
  • 令和元年4月 順天堂大学医学部大学院入学
  • 令和元年4月~令和2年3月 沖縄県立北部病院総合内科 国内留学
  • 令和5年3月 順天堂大学医学部大学院卒業 学位取得
  • 令和5年4月 順天堂大学医学部附属東京江東高齢者医療センター 消化器内科 助教授
  • 令和7年4月 池田医院 副院長就任 /   順天堂大学消化器内科教室 非常勤講師

■ 免許・資格

  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本肝臓学会専門医
  • 日本消化管学会専門医
  • 日本内科学会認定内科医
  • 産業医